2014/03/30 アーセナル対マンチェスターC 感想
アーセナルのオフェンス
アーセナルは選手の流動的な動きでチャンスを作っていました。特に、右サイドのカソルラと中央のロシツキーがポジションを入れ替える場面がよく見られました。また、1トップのジルーが外に流れた場合にはカソルラとロシツキーの2人が中央を担当するという場面も見られました。また、人数をかけた攻撃をする場合にはDMFの2人のうちの1人が上がっていっていました。ゴールを決めたのはこのパターンですが、こういう攻め方は前半から何度か見られていました。
前に見たアーセナルの試合ではポドルスキと周囲のコンビネーションが今一つだったのですが、この試合ではそこが改善されていました。ポドルスキがボールを持つとSBのギブスが外から上がってきてサポートし、チャンスを作っていました。アーセナルのサイド攻撃はOMFとSBの2人に任されているようです。
後半15分のCKでは面白い場面が見られました。相手ゴールエリア付近に5人が集中しているのです。これは何かのトリックプレーだったのでしょうか。
アーセナルのディフェンス
アーセナルの守備では、相手CBがボールを持ったときに、相手CB2人に対してFWのジルー1人でボールを追っていたのが気になりました。これでは相手のボール回しをあまり防げていませんでした。相手GKへのバックパスはしっかり追っていたのですが、相手CBへの対応は気になりました。
マンチェスターCのオフェンス
マンチェスターCはサイドに人数をかけた攻撃をしていました。SMFもしくはSBが大きく開いて幅を作り、そこにOMFのシルバ、さらにはDMFが加わった3~4人で数的優位を作ってサイドを崩していました。特にマンチェスターCの右サイドでは何度もチャンスを作っていました。
マンチェスターCのパスの起点となっていたのは2人のCBでした。この2人を経由して攻撃が組み立てられることが多かったです。2人のCBにマークが付かれた場合はDMFがDFライン近くまで下がってパス回しに参加することで相手のプレスをかいくぐっていました。
この試合、DMFのトゥーレは攻撃参加する場面が多く、チーム全体としても攻撃にウェイトを置いていたようです。
マンチェスターCのディフェンス
相手CB2人に対してFWのジェコ、OMFのシルバの2人がプレスをかけていて、相手にパスを自由に回させませんでした。
2014/03/30 アーセナル対マンチェスターC 4-2-3-1同じフォーメーションの2チームの違い
この試合では双方とも4-2-3-1というフォーメーションでしたが、試合中に見られた2チームの違いを見ていこうと思います
以下では、
A: アーセナルの略
C: マンチェスターCの略
4-2-3-1の3
A: 流動的にポジションを入れ替える。基本的に中に入る
C: 中央のシルバはサイドに寄る。右サイドのナバスは開く
4-2-3-1の2
A: 攻撃に人数をかけるときは1人が上がる
C: 基本的にトゥーレは上がる
サイド攻撃
A: SMFとSBの二人
C: SMFとSBとCMF、時折DMFも。サイドに人数をかけていた
相手CBがボールを持ったときのディフェンス
A: CB2人をFWが追う
C: CB2人をジェコ、シルバが追う
CBのパスコースがなくなったとき
A: GKに戻す
C: DMFがDFラインまで下がってくる
はてなブックマークにこの試合を分析しているサイトを載せておきました
2014/03/01 ストーク対アーセナル感想
この試合ではアーセナルの中盤のコンビネーションが今一つでした。この試合、アーセナルの中盤では、ボールを配るためにトップ下のロシツキーがボランチの付近まで下がってパスを受け、パスを出していました。アーセナルの中盤はこのときのコンビネーションが今一つでした。
ロシツキーが下がった時、左サイドのポドルスキは基本的にトップ下、中のほうへと入ってきていました、ポドルスキはFWタイプなのでこのこと自体は良いのでしょうが、ロシツキーが下がっているため、攻撃の人数が一人減ることになり、攻撃が十分に機能しない場面が多かったです。
ロシツキーが下がったときに他にどういうパターンが見られたかというと、ボランチのウィルシャーが上がっていくパターンが見られました。しかし、前述した中に入ってくるポドルスキとダブったり、上がるタイミングが遅かったりと効果的な攻撃にはなっていませんでした。
私としては、ロシツキーが下がってきた場合はウィルシャーが上がる、ということを優先したほうが良いと思います。ウィルシャーの攻撃力は魅力ですし、今季はボランチの位置から攻め上がるパターンで良いゴールも決めています。なので、左サイドのポドルスキとウィルシャーの関係がもう少し良くなればよかったなと思います。
また、この試合ではストークはサイドからクロスという攻撃を徹底していたので、アーセナルの両サイドバックが引き気味になり、攻撃参加ができにくくなっていたこともアーセナルの攻撃が不調だった原因だと思います。
ユベントス対インテル感想
ユベントスの前と後ろでのディフェンスの変化
ユベントスは前で守るときと下がって守るときでは大きく守り方を変えているようです。前で守るときには相手ディフェンスラインに積極的にプレッシャーをかけていましたが、引いて守るときには攻撃時とは異なったフォーメーションで人数をかけて守っていました。
引いたときのユベントスのディフェンス
引いて守るときのユベントスは攻撃時とはポジションを変化させていました。攻撃時は3-1-4-2ですが、引いて守るときはディフェンスラインにアサモアとリヒトシュタイナーが入り、ピルロの横にポグバとビダルが並ぶ5-3-2の形になっていました。ディフェンスラインに5人が並び、バイタルエリアに3人が並ぶという形です。ディフェンスラインに5人が並び、バイタルエリアを3人が埋めていたので主にサイドから攻撃をしていたインテルはこれをほとんど崩すことができていませんでした。さらにFW2人もセンターサークル下くらいまで下がっていたので引いたときのディフェンスはかなり硬いでしょう。しかし、ここまで引いてしまうとカウンターができなくなってしまうのではないかと思いましたが、5-3-2で引いて守っているときにもカウンターでチャンスを作ったシーンが2、3回見られました。カウンターの場面ではテベスのキープ力とピルロの正確なロングパスを活かしてカウンターを行っていました。この下がってディフェンスをするときの5-3-2へのポジション変化ですが、ポジションを変化させるアサモア、リヒトシュタイナー、ポグバ、ビダルの4人にはかなりの運動量が求められると思うので、走行距離のデータがあれば見てみたいです。
ピルロの前を向いてパスを出す動作
ピルロは後ろを向いた状態でパスを受け、前を向いてパスを出す、というのが上手いですね。後ろから来たボールを、パスの延長線上から半歩横に出た状態で、前を向きながらトラップして次の瞬間にはパスを出せる状態になっている。パスを出せる状態になるまでが速く、蹴りやすい位置にボールを正確に置いていました。
チェルシー対マンチェスターU感想
この試合、チェルシーの左サイド、アザール対バレンシア&ラファエルの攻防が面白いゲームでしたが、3-1というスコアはどうしてここまで差が開いたんだろう、というのが感想です。
マンチェスターUの右サイド、バレンシア&ラファエルは積極的に攻め上がっていて、面白いシーンがたくさん見られました。バレンシアがボールを持てばラファエルが外から追い越して上がっていく、バレンシアが外でボールを持てばラファエルは内側から上がっていくなどのコンビネーションで相手を崩していました。対面のアザールはどうしたかというと、こちらも高い位置でドリブルで仕掛けてチャンスを作っていました。なのでマンチェスターUの右サイド(チェルシーの左サイド)は双方の攻撃がぶつかり合っていて、楽しいシーンが多かったです。
ただ、結果は3-1なんですよね。マンチェスターUは右サイドから崩せていても、中央でシュートまで持ちこめていませんでした。1トップのウェルべックは低い位置でポストプレーを行ってからゴール前に入るので走りこむタイミングが遅れ、ヤヌザイはゴール前に飛び込むプレーを得意としていません。そのためサイドは崩せてもゴールは決まりませんでした。ファンペルシー復帰を待つのが一番でしょうか。
アストンビラ対アーセナル感想
最初、アーセナルは主にサイドから仕掛けていました。サイドでSMFがボールを持って、SBとエジルがサポートして数的優位を作って崩すパターンが多かったです。ここで、サイドを崩せないとわかったらすぐにボランチに渡してサイドチェンジをしていて、そこがスピーディーで相手を左右に揺さぶっていました。両サイドに顔を出すエジルの運動量はこの試合を通じてかなりのものでした。
しかしこのサイド攻撃にもだんだんと対応されてきます。そこで、アーセナルの選手は動きを変えてきました。特に良かったのがカソルラとウィルシャーです。カソルラはサイドから中央へ流れ、相手DFとMFの間のスペースでボールを受け、そこからパスやコンビネーションでチャンスを作り出していました。ウィルシャーは、中盤の低い位置でサイドチェンジを担当していた初期とは変って、FWジルーの下のスペースに走りこみ、ドリブルでチャンスを作り、ゴールも挙げました。
この試合、コンディションがよかったのでしょうか、エジルの活躍が目立ちました。前半後半を通して味方のサポート、スペースへの飛び出しとピッチのあらゆる場所に現れて、パスを受けては出し、チームによいリズムを作っていました。ドリブルでも相手にボールを取られることがほとんどありませんでした。エジルはボールを受けるときの体の使い方が良いですね。ボールを受けると同時に次のプレーの動作が始まっています。後ろ向いた状態で味方からのパスをダイレクトで返し、前へ走りこむというプレーならば、エジルは体を反転させながらパスをダイレクトで返し、次の一歩で前へ走り出していて一連の動作が滑らかで速いです。
ミラノダービー感想
12月のミラノダービーですが、私はインテル側に注目して見ていました。インテルにはニアサイド入るFWが不足しているというのが感想です。
インテルはWBかグアリンがサイドからクロスを上げるというのが攻撃パターンだったようです。ときにはFWのパラシオがサイドに流れてクロス、という場面もありました。そしてクロスが上がるとパラシオがファーサイドに入り、その外側からWBが流れ込むというのがパターンのようでした。パラシオはDFと駆け引きができていましたし、両WBは良いタイミングでパラシオの外側からゴール前に入ってチャンスを作れていました。しかし、ニアサイドには誰も入っていないため、ファーサイドのパラシオにマークが集中して抑えられてしまう場面が目立っています。これはニアサイドに入っていくFW、MFがいればマークを分散させられて、解決できることだと思います。インテルにはそういうタイプのMFはいなさそうなので、FWを2人にしてグアリンを一列下げるのが一番だと思います。強烈なミドルシュートのあるグアリンはもう一つ低いポジションのほうが活きるでしょう。
FCバルセロナのサイド守備
FCバルセロナと言えば、中央からの攻撃で有名です。では守備はどうなのでしょうか。私の印象としては、今季のバルセロナはサイドでの守備を重視している、サイドでボールを奪おうとしているように見えます。バルセロナはサイドにSB、WG、MF2人の合計4人を集めてボールを奪う場面が多いです。さらにもう一人がフォローに行って、合計5人になっていることもあります。
サイドで守備をするメリットは?
バルセロナのメンバーを見る限り、中央からの攻撃が得意と見えます。ならばサイドに人数をかけて守備をするメリットはなんでしょうか。まず考えられるのは、
SBの押し上げが確実になる
バルセロナの攻撃にはSBの攻撃参加が欠かせません。そこで、SBが安心して攻撃参加するためにサイドの守備を確実にしているのではないでしょうか。
もう一つ考えられるのは、
サイドはプレスで守るのに適している
バルセロナの得意とするプレスによる守備は、中央よりもサイドに適しているのではないでしょうか。中央よりもタッチラインのあるサイドのほうがパスコースが少ないのだから、プレスを行いやすい。そんな風に考えているのではないでしょうか。
バルセロナのサイド守備は人数をかけてボールを奪いに行っているうえに、サイドチェンジを受けることがほとんどなくて見事です。
アーセナルの中盤のディフェンス
アーセナルの中盤にはショートパスやコンビネーション、ドリブルを得意とする選手が揃っています。このメンバーだと、高い位置でプレスをかけるサッカーをしそうなものですが、試合を見る限りそうはなっていません。
これはなんのため?と考えてみると、プレミアにはよくあるロングボールの対策ではないかと思えてきます。プレミアではロングボールが多用されるので、高い位置でのプレスは空振りに終わると考えて現在のような中盤の守備になっているのではないでしょうか。
ではどこでボールを取っているかというと、DFラインの前、中盤の低い位置です。相手FWと味方DFの競り合いでこぼれたボールを中盤の選手が回収しています。そこからアーセナルMF陣はポジションを流動的に変えながら攻撃をしていきます。中盤の低い位置でボールを奪い、中盤の高い位置に選手が流動的に入っていくという攻撃は変化に富んでいて楽しいサッカーです。
ポジションチェンジをすると守備が不安定になりやすいといいますが、アーセナルはどうなんでしょう、まだよく分かりません。後、こんな風に中盤が動けるのはFW、DFが競り合いに勝てているからなので、彼らはアーセナルの流麗なサッカーの陰の功労者ですね。